抱っこひもの事故から学ぶこと
抱っこひもから赤ちゃんが落下してけがをする事故が、2009年以降に約116件起きていたことが調査でわかったそうです。(8月4日の読売新聞記事から)
落下により、頭蓋骨骨折や外傷性くも膜下出血などの重傷に至るケースもあるらしく、ゾッとします。抱っこひもは赤ちゃんとママが密着し、赤ちゃんを守るものであってほしい。
この事故のあとに書かれた、園田正世さん(東京大学大学院で抱っこを研究)の記事をご紹介します。
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「人は抱かれないと生きることができないから、赤ちゃんの事故を起こさないためにするべきこと」
人は抱かれたから生きている。今、この記事を読んでいる方で抱かれたことがない人はいません。人は人に触れられないと生き延びられないようです。赤ちゃんを抱いたりおぶったりすることは、授乳とセットで何万年も続いてきた行為です。
赤ちゃんを身につけて何時間も労働に従事するためには、できるだけ両手があき身体に負担がかからず、しかも赤ちゃんの成長にとっても良い状態になっていることが求められます。そのために各民族はそれぞれの環境にあったやり方を発見し、道具を作って利用してきました。
<抱っこ具・おんぶ具の成り立ち>
伝統的な子育ての道具はその民族固有の体型や地形、気候などの環境にあったものが取捨選択されてきました。同時に民族の生活にあった身体性と切り離せないものであったようです。
アフリカの民族の多くもかつての日本人もよくおんぶをしていましたが、その位置や方法は全く異なっており、民族特有の体型と環境にあったやり方が受け継がれていました。しかし日本人の生活は半世紀ほどで劇的に変化しており、1世紀前の人と同じように身体を動かすことは難しくなっているようです。
もともと製品のサイズが合わないことに加えて、中学生頃から続けてきたリュックなどをだら~んと背負うことへの慣れがそうさせてしまっているのかもしれません。
しかし最も大きな原因はお互いの体に寄り添った気持ちの良い抱っこの経験やモデルがないために、ぶら下げて「持ち運ぶ」ようになってしまっているために注意が向かないことが考えられます。
今後メーカーでは安全ベルトを二重にするなどの対応策を検討していくようです。それに加えて海外製品であっても日本国内で販売する以上、主なユーザーである日本人の体型にあったものが提供されることを期待します。
製品としての安全対策も重要ですが、抱っこやおんぶをした状態で赤ちゃんがどのような姿勢をとっているか、重心はどこにあるのかを感じられるようなユーザーである必要もあるでしょう。私たち人類は過去何万年も安全ベルトなしで子育てと労働を両立してきました。
便利すぎる生活と引き替えに、そうした身体感覚をなおざりにしすぎているのではないでしようか。

私は、母にどんな抱っこをしてもらっていたんだろう…と、ふと思いました。
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