産後は体を休ませて
私は出産を2回経験しています。
長女を出産した時には、サポートしてくれる人がいませんでした。当時は出産の興奮もあり「大変だった」と自覚はしていなかったけれど、いろんなことがありました。
手首の痛みがひどくなり、産後1か月半で受けた腱鞘炎の手術。左手が包帯ぐるぐる巻きのために使えず、片手だけのオムツ替えやだっこ。洗濯物を干したり食器を洗うのも片手だけ。さらには目の不調。常に目が痛くてコンタクトを入れることができない、テレビがついているだけで眩しくてチカチカする…。夜暗くなると目を開けているだけでもつらい日がある…。今思えば、わかりやすい産後の不調でした。
3年後の次女の出産時は、出産直前に夫が海外赴任してしまい完全に不在。当時住んでいた大阪から名古屋の実家に移動しました(里帰り出産というより、大阪の社宅に住めなくなったため仮引越しのような流れで)。
もろもろのストレスがかかったのか、次女の出産後の体調は最悪に。耳が痛い、目が痛い、体重が10㎏近く減る、体中が乾燥したかと思うと異常な汗が出る…「自律神経失調症」と言ってしまえば簡単だけれど、常に続くだるさとめまいで自分が自分でなくなったような感覚に。
このような体調不良が回復しないままに夫の仕事都合で海外へ転居。異国の地の育児でさらにストレスがかかったのか、体調不良が3年以上続きました。腰が痛い、頭が痛い、目がしょぼしょぼする、涙があふれて止まらなくなることも…。本当に必死だったけれど、当時の自分を「よく頑張っているね」と、抱きしめてあげたくなります。
このころに私が感じた、産後の不安や体調不良や孤独感…。思い出すと今でもきゅんと苦しい。私のように出産前後に転居を繰り返す人は少ないだろうけれど、不安や孤独を感じるママは多いはず。そんな産後のママをサポートしたいと思ったのが、助産師として地域活動を始めたきっかけのひとつです。
だからこそ、産後のからだに負担をかけているママを見ていると心配で仕方がない。先日も、ハードスケジュールで産後を過ごしているママに出会いました。
出産したのは八潮市近郊で、退院直後から他県の実家へ里帰り(150㎞くらいの距離)。2週間後に八潮市に戻ってきてすぐに、乳腺炎。高熱が出て大変だからと、再び150㎞離れた実家へ(乳腺炎の手当ては自己流)。
再び八潮市の自宅に戻ってからの生活では、夜遅くにパパが同僚を連れ帰宅しママが食事をふるまったこともあったらしい…。そして、GWはパパの実家へ移動(300㎞以上離れた他県)。それも渋滞を避けるために深夜の高速道路で6時間かけての移動だとか…。
まだ続きがあって、現在新居建築中で近日中に転居予定。出産してから新居へ転居するまでの期間はなんと2か月!わずか2か月の間に、ママは長距離移動と引っ越しをするという過密スケジュール。
さらには、乳腺炎で高熱になるほど母乳がよく出ているにもかかわらず、パパは「GWは赤ちゃんを実家に預けて二人でスノボをしに行く」つもりだったらしい。パパのご実家では毎日のように予定があり、ゆっくり休む暇はなかったそうです。
出産後退院したら元気に戻るわけではありません。「いのち」を生み出すということは、とてつもないエネルギーを消耗します。
妊娠中はママの体力を赤ちゃんにおすそ分けしながら生活していました。だから体力を消耗して当たり前。その期間280日!この期間は鉄分の消費が多く(1.5倍)貧血になりやすい。基礎代謝が20%も増えて体力もたくさん消費する。また、出産では多量の出血でさらに血液を消耗!おまけに産後の慣れない授乳では、毎日「白い血液」という母乳を多量に赤ちゃんに与えて過ごします。赤ちゃんとの生活で緊張が続き、体力を消耗するのが産褥期なのです。
ママの大切な体。血液のめぐりが悪くなれば精神的にも不安定になり、産後うつやノイローゼのきっかけにもなってしまいます。昔から「産後に無理すると更年期にきついよ」と言われるゆえんはこのため。
私自身、産後の体を過信していたと反省しています。というか、私の場合、努力ではどうしようもない事情だったので「もっと大事にしてもらいたかったな」と切なく思い出します。どうか、産後は休息が取れる限り休んで体をいたわってほしい。そしてパパはママの体を守ってあげてほしい。遠距離のご実家の帰省は最小限にして、できればご両親に来てもらってほしい。引っ越しは、せめて産後1年は控えてほしい。
男性は出産や産後を体験しません。そのため、産後に元気いっぱい頑張っているママを見て「産んだらもう元気」「産後はすぐに元気になるんだな」と勘違いしてほしくないのです。「一生愛して守りたいと誓った妻の、大切な心と体を守りぬくのが真の男!」…と、私は思っています。
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