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2014年6月27日 (金)

母乳相談で切なくなること

母乳支援にかかわる者として、毎日いろんな方に会います。嬉しいこと、がっくりくること、いろんな事があります。そんな思いをつらつらと書いてみます。長文ブログ記事なので、母乳育児に関心のある方に読んでもらえたら嬉しいです。

母として「母乳育児でわが子を育てたい」という思いは、理屈ではなく哺乳類としての本能。私は「母乳はよくてミルクはよくない」とか、そんなことは全く思っていません。

ただ、粉ミルクというものを日本人が使うようになってから、まだ100年もたっていない。粉ミルクというものが使われるようになるずっとずっと前から、人間は命がつながり母乳で育ててきたという当たり前の人類の歴史を思うと、「本当にそんなにミルクが必要なのだろうか?」と疑問に思うことは多々あります。

多くの母親の願いは「我が子におっぱいを飲ませたい」「母乳をもっと出るようにしたい」ということ。そんな「母乳の出をよくする」ためにできることは、まずは「よく吸わせること」が基本中の基本です。特に生まれて間もないうちは、「このくらいの母乳量を赤ちゃんが必要としています」とおっぱいホルモンに記憶させることが重要。そのためにも、何度も何度も吸わせればよく出るようになります。そのママの持っている力の最大限に。

しかし現状としてよく陥りやすいケースは、

産院の入院中に当たり前のようにミルクを追加することを教わった(から、ミルクは追加しなくてはいけないものだと思っているママが多い) ➔ ミルクを追加しているから母乳を吸わせる回数が減る ➔ 吸わせる回数が減るから母乳の生産量が少なくなる ➔ 母乳の出が悪い(とママは思っている)からミルクを飲ませる ➔ 授乳回数が少なくて母乳分泌がさらに減る ➔ 母乳の出が悪いとママが確信する ➔ ミルク量がどんどん増える ➔ミルクでおなかいっぱいになった赤ちゃんは母乳を吸おうとしない ➔ 赤ちゃんが吸ってくれないのは母乳が出ないからだとママは思ってしまう ➔ どんどん母乳を飲ませる回数が減る ➔ 本当に母乳の分泌が減少する …という流れ。

毎日毎回多量にミルクを飲ませ続けていたら、おっぱいホルモンに「母乳を作る必要はありませんよ」と教えているようなもの。だから、1ヶ月半~2カ月くらいでおっぱいホルモンが減少してしまい、本当に出ないおっぱいになっていくのです。

つまり、1ヶ月半くらいまでに「上手な吸わせ方」をきちんと習得してもらえたなら、母乳の分泌が安定して母乳育児がうまくいくことが多いのです。この時期に、ママに上手に飲ませるコツを覚えてもらって、赤ちゃんが上手に吸えるようにアドバイスすることが、母乳支援をする者にとって大切なことだと考えています。

特に、ミルクを多量に追加していた方が母乳中心に変えて行く場合、途中経過が肝心です。一時的に体重が増えないことや、一時的に便秘になることもある。赤ちゃんが常におなかをすかせて「全力で必死に」おっぱいを吸い続けることで、おっぱいホルモンが焦って作り始めます。ミルク栄養から母乳への切り替えの場合、この一時的な過程で心配になるママが多い。そのため経過の確認は必ずさせてもらっています。

しかし時としてこの過程の途中で、産科や小児科の受診のタイミングになることがあります。一時的に体重の伸びが少ないこのタイミングで、「母乳が出ていない」とか、「母乳では難しいね」といわれてしまうととても切なくなります。一時的な通過「点」ではなく、成長の過程を「線」で見守ってもらいたい。この期間は、ひたすら「大丈夫だよ」「このまま頑張ったらうまくいくよ」とアドバイスしてあげてほしいのです。

残念なことに、モチベーションが低下する発言を受けた場合、心配している状況だからこそママたちの不安が増して「やっぱり母乳では無理なんだ」とあきらめてしまう人もいます。母乳育児が無理かどうかは、少なくても1ヶ月半くらい母乳中心の育児をしてみてから考えることであって、1ヶ月検診やその前後で判断できることではないのです。

おもにミルク栄養が中心だったママにも多く関わってきましたが、この生後1~2カ月までに上手な飲ませ方のコツをつかんで経過の確認を受けつつ頑張ったママは、ほぼ例外なく満足な母乳育児ができるようになっていると思います。

もし産科や小児科に受診したときに、「母乳が足りない」「母乳では無理」とモチベーションが下がることを言われたら、ぜひセカンドオピニオンを探してほしい。複数の医師や助産師にいろんな意見を聞いて迷ったときには、「できるよ」「大丈夫だよ」と励ましてくれる人の言葉を信じてほしいのです。

哺乳類としての本能である母乳育児。私は決して「母乳がよくてミルクが悪い」とは思っていません。けれど、粉ミルクというものが使われるようになるずっとずっと以前から、人間は命がつながり母乳で育ててきたのです。そんな母乳を飲むことで、赤ちゃんはママの免疫をもらい感染症になりにくく、ママも乳癌や卵巣癌のリスクが減るなど、自然に体を守るようにできているのです。

せめて生後1~2カ月は、たとえ不安な状況であっても「母乳が出ない」と確信することなく、自分の母としての体の力を信じてほしい。健康な女性であれば、出産したら母乳が出るように体はできています。母乳が足りていないように感じて不安なときには、成長の過程を線で見守ってくれる医師や助産師のケアを受けて、ママの体の力を引きだし発揮してほしい。そう願っています。

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