残念な乳腺炎ケア
先日出会った方のお話。
聞けば、お一人目の授乳中にとてもひどい乳腺炎になり、恐怖が残っているとか。お二人目のご出産で「今回こそ辛くない授乳をしたいからケアを受けたい」と、早々にご連絡くださいました。
お話を聞いて、唖然…。それはこのような体験です。
八潮市に転入する前に住んでいたエリアで、産後におっぱいケアのために某A助産院に通っていたそうです。それも、片道30分くらいかけて、毎日毎日、なんと17回も。
乳腺炎のような症状を感じ、そのA助産院で相談すると「病院に行ったら抗生剤出されて、おっぱいを飲ませられなくなるから行かなくてもよい(←もちろんこれは間違ったアドバイスで、抗生剤飲んでいても母乳は飲ませられます)」と言われ助産院のケアを受けていたところ悪化。どんどん痛くなり電話連絡すると「○○病院に連絡して」との返答。
○○病院に連絡をすると「またあの助産師なの~?手に負えなくなるとすぐにこっちにまわされるんだよね~」とグチグチ言われ受診を見送り、某総合病院に連絡。産科を受診したら「乳腺炎だから外科へ」と言われ、外科に行ったら「授乳中の治療は産科に行って」。
たらいまわされた揚句、産科の看護師に相談したら「搾乳の仕方が悪い」だの「マッサージをしなくちゃダメ」だの言われ、さんざん言われても治癒に結びつく有効なアドバイスは得られず。「助産師に相談したかったらここに連絡して」と紹介されたのは、はじめにケアを受けていたA助産院だったため連絡する気にもなれず。
産科→外科→産科→外科と巡った末、その某総合病院外科で乳腺炎の切開治療を受けるほど悪化。しかし切開してもまったく治癒せず。これは埒があかないと、自力で探した外科クリニックを受診し再度切開をしたところ、「チーズのようなおっぱいが先生の白衣に飛び散った」と…。その後すっきりとラクになったとか。
ここまで聞いているだけで、悲しくて切なくて、私までおっぱいが痛くなります…。
この方の乳腺炎治療に携わった、助産師、外科医、産科医、看護師、この中にひとりも責任を持って関わってくれる人がいなかったことが本当に残念。すべての人が、「手に負えない」「よくわからない」と判断したであろうケースなのに、「どうすれば治るのか」を一緒に考えることなく責任のたらいまわしをしたことが残念。
とくに、A助産院には毎日のように17回も通院していたというのに、乳腺炎になったら放り投げるなんて無責任すぎる。完全に治癒するまで責任持ってかかわってほしい。同じ助産師として恥ずかしい。
私も重症の乳腺炎患者さんに出会うことがあります。私の場合は、助産師のケアだけでは治癒に時間がかかると判断すれば、早々に内科や乳腺外科の医師に治療方針を相談します。血液検査を依頼して炎症の程度を確認し、必要なら内服を勧めます。また重症のケースだと、乳腺外科の受診にも同行するようにしています。外科的処置が必要と思われる場合は、同席して治療方針を医師と相談するよう心がけています。
私が関わった方で過去に切開にまで至った乳腺炎はたったのおひとりだけ。この方も、他院で通院していたにも関わらず不適切なケアを受け悪化していて、さら助産院にお越しになった時点では手がつけられないほど重症でした。もっと早くに関わっていたら切開せずにすんだのではないかと悔いが残ります。
軽い乳腺炎なら助産師のケアだけで治ります。初期症状で、吸わせていたら自然に治癒することもあります。しかし、この時点で適切な対処をしなければこじらせてしまい重症化し、最悪の場合切開に至る事もあるのです。
乳腺炎を疑うときには、まずはとにかく赤ちゃんに吸ってもらうことが基本。そして、早めに「母乳育児に詳しい」助産師のケアを受けることをお勧めします。もし納得のいくケアが受けられなければ、助産師を変えることもアリ。助産師会のホームページで探すか、地域の保健センターに尋ねると助産師を紹介してくれます。(そうそう、乳腺炎の治療に「悶絶するほど痛いマッサージ」をする助産師は要注意ですよ)。
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