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2011年7月 2日 (土)

新生児期の母乳不足って・・・?

新生児訪問や母乳外来の際に、赤ちゃんの体重増加が少なめで母乳不足を心配しているママによく出会います。

私は、人間は哺乳類なので、「おっぱいが全く出ない人」はいないと思っています。ただ、「分泌が多い人」「分泌が少なめの人」「分泌がゆっくりの人」の個人差はあると思います。

そして、女性の体はとてもデリケート。心理的な影響はとても大きいため、まずはママたちが「母乳育児に自信を持てるケア」をうけることにより、母乳栄養にするために最大限の力を発揮できると信じています。

母乳不足を心配していたママで、こんなケースがありました。

Sくんママはしっかりした体格の30代前半の女性。母乳で頑張っていたところ、Sくんの体重増加が少なめでした。産院で、「母乳で頑張ることはママと赤ちゃんのストレスになるから」と完全母乳をあきらめるよう言われています。しかし、私が診せてもらったところ母乳の分泌はとてもいい。「私はミルクは必要ないと思うよ~。母乳だけで大丈夫だと思うけどなあ」と伝えました。その後Sくんママはミルクを追加することなく完全母乳で、3か月で7600g、6カ月半では10㎏を越えるほどの成長ぶり。「ミルクを与えなくてよかった」と母乳育児を楽しんでいらっしゃいます。

そしてもうひとり、Sちゃんのケース。私がSちゃんと初めて関わったのは4ヶ月でしたが、その時点の体重が8760g。大きなベビちゃんでした。

Sちゃんの発育の経緯を、本人ご了承のもと具体的にご紹介します。

ママは「母乳で育てたい」と希望し、総合病院で出産。3332gでお誕生でした。生後5日目の退院時の体重が3192g。生理的体重減少と言って5~10%の体重が減ることはよくあることです。

そして、生後12日の黄疸の健診で、1日に3gしか体重が増えていないといわれ「哺乳障害」との診断を受けました(体重3368g)。「哺乳障害」の診断名を付けられたSちゃんですが、この診断には疑問が残ります。生後1~2カ月までの母乳不足の判断に1日あたりの体重増加を算出しますが、この算出は生まれたときからではなく、生理的体重減少で減った時(およそ退院)から算出するのが正しいからです。Sちゃんの場合も、退院から算出すると1日当たり25gという立派な発育をしています。

しかし、ママはとても不安で自信が持てず、必死にミルクを飲ませたそうです。そして、4ヶ月健診の体重は8340g。4ヶ月で、生まれた時の2倍近くになればよしとするため、Sちゃんの場合はかなり大きくなっています。それでも健診で「ミルクを中止してもよい」と言われることはなく、頑張って100mlを数回与えていた頃に出会いました。

母乳外来でおっぱいを診せてもらうと、柔らかくて吸いやすいおっぱい。分泌も充分です。今まで「ミルクを追加しなくてはいけない」と頑張ってきたSちゃんママですが、Sちゃんは「哺乳障害」でも何でもなく元気なお子さんで、ミルクをほしがっていなかった事が分かりました。

母乳が足りているかどうかを体重だけで判断することはできないと、私は思います。体重の増加が少ないとミルクの追加を勧められた方で、あふれるようなおっぱいのこともあります。「体重増加少なめ=母乳不足」とは限らず、赤ちゃんがうまく飲めていないだけのこともあるのです。吸い方を工夫するだけで体重がぐんぐん増えていくこともあります。

産院でミルクの追加を勧めらるときに、おっぱいの状態を診察することはまずありません。本当に母乳不足なのか、または上手に飲めていないだけなのか、または生理的体重減少が長引いているのかなど、助産師におっぱいの状態もみてもらいながら相談することをお勧めします。

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